2026.03.08
自然乾燥の回復力
こころ

今から50年も前のこと
幼稚園のかけっこで
思いきり転んだ
ひざ小僧はずるむけ
血がにじみ、痛くて
悲しくて、声をあげて泣いた
「大丈夫?」
「痛そう」
そう言ってもらっても
いちばん痛いときは
何も聞こえない
先生が水で洗ってくれるのも痛くて
ガーゼと包帯でぐるぐる巻きにしてもらって家に帰った
でも、数日たっても治らない
傷口を見るのがこわくて
毎日包帯を巻いてもらった
そのうち
「かわいそうに」
「大丈夫?」
という言葉が
少し心地よくなっていた
まるで悲劇の主人公みたいで
けれど、傷はじゅくじゅくと膿んでいった
そんなとき、父がお父ちゃんが
「もう大丈夫や!そんなん、すぐ治る!」
そう言って包帯を外し
ひざをペチンと叩いた
私はギャーギャー泣きながら眠った
けれど翌日には
傷は少し乾いていて
痛みも和らいでいた
そして、あっという間に治った
お父ちゃんは笑っていた
人の心も、この傷に似ているなと思う
生きるのがつらくなることがある
誰かにすがりたくなることもある
逃げ出したくなる夜もある
でも
誰にすがっても
どこへ逃げても
一時的に楽になるだけで
傷そのものが治るわけではない
本当に癒やす力は
自分の中にあるのです
それが、レジリエンス
困難や逆境から立ち直る
「しなやかな強さ」
レジリエンスとは
傷つかない強さではなくて
折れても、戻ってくる力
揺れても、立て直せる力
硬い心ではなくしなる心
泣かない人が強いのではない
泣いても時間をかけて戻ってくる人が強い
たくさんの方のお悩みを聞いていると、何か助けてあげたいと思う
でも同時に気づくんです
私は、やはり誰かを救うことはできない
包帯を巻いてあげることはできても、傷を治すことはできない
本当の意味で心を癒やすのは
その人の中に眠っている回復力だけかもしれません
私はただ、包帯を外すきっかけをそっと手渡す人でありたいと思います
あなたの中にも
ちゃんとあります
乾いて、再生していく力が
それが、あなたのレジリエンス
今はまだ痛くても、きっと戻れる
しなやかな強さは
あなたの中にも、ちゃんとあります

今日も私の小さな言葉が、誰かの小さなお守りになりますように