ブログ・皆様からのご感想

2026.03.01

文字かけ汗かけ恥をかけ

こころ

 

15歳の私を支えた言葉

私が大切にしていること

その中でも、決して揺るがないものがあります

それは
人に恥をかかせないこと

人権講師やハラスメント防止講師をしているからではありません

もっとずっと前
――まだ何者でもなかった頃から、私の中にあった祈りのような価値観です

でも、不思議なことに
自分が恥をかくのは、わりと平気なのです

むしろ、あとで笑い話にしてしまう

きっとそれは、
私自身が、数えきれないほど恥をかいてきたから

15歳の春

高校へ進む環境はありませんでした

15歳で、女子寮のある冷凍食品工場に正社員として入社させていただきました

お給料をいただけること
住む場所があること

それだけで胸がいっぱいになるほど、ありがたかったのです

朝5時に起き、眠たい目をこすりながらマイクロバスで工場へ向かう日々

仕事は厳しく、覚えることも多く、失敗もしました

叱られたときは、顔が熱くなり、耳の先までじんわりと赤くなるのが自分でもわかりました

「消えてしまいたい」と思うこともありました

それでも――

「私にもできることがある」
そう感じられる瞬間が、何よりも嬉しかったのです

任された誇り

ある日、お肉を入れていたアルミケースを大量に洗う仕事を任されました

匂いは正直きつく、
少しえづきそうになる場所
洗い方を教えてもらい、先輩は持ち場へ戻っていきました

……え?
私、ひとり?

その瞬間、胸がどきんと鳴りました

不安と同時に、誇らしさが込み上げてきたのです

「任せてもらったんや」

15歳の私に
ひとりでやり遂げる仕事を

嬉しさで、また耳が熱くなりました

今度は恥ずかしさではなく、
“期待されているかもしれない”という照れくささ

鼻歌を歌いながら、一つひとつ丁寧に洗いました

あの言葉

工場長さんが通りかかり、声をかけてくださいました

「よう、頑張ってるね」

その一言で、胸がぎゅっとなり、また耳まで赤くなったのを覚えています

工場長さんは
私が児童養護施設にいたこと
実家もなく、寮生活をしていることをしってたんですね

そんな私にこう言いいました

「ええか。まだ15歳や。
この先、まだまだ大変なことある。
でもな、これだけはやっときや」

「文字かけ、汗かけ、恥をかけ」

意味も深くわからないまま、
私は精一杯の声で

「はい!」
と返事をしました

あれから39年

今なら、その言葉の意味がわかります

文字を書くことは、学び続けること

汗をかくことは、努力を惜しまないこと

恥をかくことは、挑戦すること

恥をかかない人生は、
挑戦していない人生かもしれない

人前で意見を言って声が震えるとき

失敗して、言い間違えて、場が静まり返るとき

あの、耳まで赤くなる感覚

でもそれは、
前に出た人だけが味わえるもの

私はたくさん恥をかいてきました

たくさん遠回りもしました

けれど――
自分が恥をかいてきたからこそ、誰かがうつむく気持ちがわかる

声が震える人の、胸の鼓動が想像できる

だからこそ、
人に恥をかかせたくない

あの15歳の私が感じた
「任せてもらえた誇り」を、
誰からも奪われたくないのです

今は昔ほど文字も書かなくなったし、汗もかかないし
恥もかかなくなったかもしれません

でも、思うんです

もう一度、あの洗い場に立っていた15歳の私のように
耳まで赤くなりながらも胸を張って

文字を書き
汗をかき
恥をかきながら

これからも、挑戦し続けたい

あの日と同じように

心の中で、もう一度――

「はい!」

と返事をしながら

 

 

※ヘッダーの「恥」の「耳」が一本多いのは笑ってください

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