ブログ・皆様からのご感想

2026.02.27

こころ

 

 

子育て講演会の最後に、よくお話しする
「しつけ糸」の話があります

 

 

みなさんは「しつけ糸」ってご存じですか?

家庭科の授業で習った「しつけ縫い」

本来のしつけ糸とは、本縫いをする前に布を仮に留め
形を整えるための糸のことです

 

 

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仕上げのあとには、スルスルと抜き取られる、目立たないけれど大切な糸

 

 

「しつけ」を漢字で書くと「躾」
“身を美しく”と書きます

私はこの「身」は、外見ではなく「中身」だと思っています

つまり、こころを整えること

 

 

こどもたちは、その躾糸にそって、一生懸命、自分の人生を縫っていきます

細かく丁寧に縫う子もいれば、大まかに縫う子もいる

まっすぐ進む子もいれば、少し横にそれていく子もいる

 

 

 

でも、少し離れて見たときに

「あれ?ちょっとそれてるな」と
気づける目印があれば、また戻ってこられる

 

 

人生も同じです

 

 

親がつけてくれた「しつけ糸」があっても、ときには道を外れることもある

 

 

けれど、戻る糸があるかどうか

 

 

安心して帰れる道しるべがあるかどうか

それが、私の考える「しつけ糸」です

 

それは
「ここを歩きなさい」という命令ではなく

 

 

困ったとき

苦しくなったとき

息が詰まりそうになったときに

 

戻ってこられる安心安全な場所

 

 

しつけ糸は、強く縛るものではありません

ゆるく縫われ、必要なときにそっと外れる糸

 

こどもが自分で縫い進めるための、仮止めの糸なのです

 

 

 

私も、こどもたちが中学生の頃、ひとつのしつけ糸をつけました

 

講演活動が始まり、家を空ける時間が増えたとき
四六時中そばにいることはできなくなりました

 

だからこそ、伝えたかったのです

 

 

「母さんは仕事で家を空けることもある。泊まりの出張もある。
でも覚えていてほしい」

 

 

「私は、何があってもあなたを愛している」

 

 

「私は、どんなときもあなたを信じている」

 

 

 

 

「ヘリコプターペアレンツ」という言葉があります

こどもの上を飛び、問題が起きる前に先回りして解決してしまう親

 

 

けれど、私は三人の母
三台のヘリコプターは飛ばせません

 

 

もう、小さなこどもではない
目も手も、少しずつ離していく

 

 

でも——
こころだけは、離さない

 

誰が見ていようと、見ていまいと

もしも、少し悪いことをしそうになったとき

 

「あっ、お母さんは私のことを信じているんや」

 

そう思い出してくれたら、それでいい

 

それが、私の縫ったしつけ糸です

 

もし、家族それぞれがバラバラの糸を出していたら
こどもはどの糸に沿えばいいのか分からなくなります

 

 

だからこそ、家庭の中で
「わが家の一本」を決めてほしい

 

完璧でなくていい
立派でなくていい

 

 

ただ一本、
困ったときに戻れる道しるべを

 

 

あなたの家庭の「しつけ糸」は、どんな糸ですか?

 

 

そして――
こどもたちの歩く道が
見えなくなったときにも

その糸が小さな灯りとなって、やさしく照らしますように

 

 

私たち大人は、その灯りを信じながら
遠くからそっと見守る灯台でいられますように

 

 

こどもたちのこころに、
あたたかく、しなやかな一本が縫われますように

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